抜毛症とは、ストレスやホルモンバランスの乱れによって自分の髪や体毛を抜いてしまう行為であり、精神疾患の一つです。症状が継続すると、将来的に薄毛のリスクが高まる可能性があります。そのため、抜毛症を発症したら、早めに専門の医師に相談し、適切な治療を受けることが重要です。
本記事では、薄毛を誘発する抜毛症の判断基準や原因、そして治療方法について詳しく解説します。抜毛症に悩んでいる方や、自分自身もしくは、家族に抜毛症の疑いがある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
専門の情報を得ることで、適切な対策や治療方法を見つけられるでしょう。
青山メディカルクリニック ■診療科:形成外科、美容外科、美容皮膚科 ■経歴 ■資格・所属学会 水道橋ひふ科クリニック ■診療科:皮膚科、小児皮膚科、アレルギー科、美容皮膚科 ■経歴 ■資格・所属学会
院長 松澤 宗範
URL:https://amclinic.tokyo/
2014年 近畿大学医学部 卒業
2014年 慶應義塾大学病院初期研修
2016年 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年 佐野厚生総合病院形成外科
2017年 横浜市立市民病院形成外科
2018年 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2019年 銀座美容外科クリニック 新宿院院長
2020年 青山メディカルクリニック院長
・国際抗老化再生医療学会
・日本抗加齢医学会
・日本形成外科学会
・日本性機能学会
・日本アンチエイジング外科学会
・日本細胞外小胞学会
・日本がん免疫学会
・日本免疫治療学会
・日本NKT細胞標的治療研究会
・点滴療法研究会
・遅延型フードアレルギーと過敏症研究会
・日本コロイドヨード研究会
・日本医学脱毛学会
院長 神島 輪
URL:https://suido-hihu.com/
桜蔭高校 卒業
東京女子医科大学 卒業
東京女子医科大学病院 皮膚科入局
シロノクリニック 勤務
早稲田南門eクリニック 勤務
ナチュラルハーモニークリニック表参道 院長代
水道橋ひふ科クリニック 開業
・日本抗加齢医学会専門医
・日本レーザー医学会認定医
・日本皮膚科学会正会員
・サーマクール認定医
・ウルセラ認定医
・ミュゼプラチナム 『ミュゼのお肌の相談医』
この記事でわかること!
抜毛症|毛を繰り返し抜いてしまう行為のこと
抜毛症は、自分自身で意図的、または無意識的に髪などの体毛を抜いてしまう行為を指します。この症状は、抜毛の行為をやめようとしてもうまくいかず、苦痛を感じながらも止められないといった特徴があります。
抜毛症にかかる方の大半は思春期前後の女性であり、その発症頻度はおおよそ100人に1人もしくは2人程度です。また、抜毛症を発症されている方のうち約9割が女性なのも大きな特徴です。
さらに、抜毛症には、抜毛のときの感覚を求める「焦点化型」と、無意識に髪を抜いてしまう「自動化型」の2タイプがあり、髪の毛以外にも眉毛やまつげも抜毛の対象となります。髪を抜くだけでなく、抜いた髪を無意識に口の中に入れて飲み込んでしまう場合もあり、胃の中で毛玉ができて食物の通過障害を引き起こすケースもあります。
抜毛症の判断基準
自分自身が抜毛症かどうかは、以下の項目に当てはまるかで判断できます。
- 自分で髪や眉などの体毛を抜く癖がある
- ペットの毛や布製品の繊維を抜く癖がある
- 抜毛癖によって脱毛が進んでいる箇所がある
- 抜いた毛を飲み込む癖がある
- 抜毛をやめたくてもやめられない
- 精神的なストレスや肉体的な疲労がある
これらの特徴に複数個当てはまる場合は、抜毛症の可能性が高いといえます。
しかし、正確な診断は専門である医師の判断を仰ぐ必要があるため、あくまで自己判断の目安として活用することが大切です。上記のセルフチェックに当てはまる項目が多い方は、医療機関で相談して早めに治療を開始するようにしましょう。
抜毛症にかかりやすい人の特徴
抜毛症の発症にはさまざまな原因がありますが、不安や退屈な感情が引き金となっているケースが多く見られます。これらの感情が強いと、毛を引き抜く行動が低減方法の一種として現れます。
また、強い不安感や不快感を消すために、何度も同じ行動を繰り返すような「強迫症」を抱えている方や、その家族は一般と比較しても抜毛症になりやすい傾向にあるのも特徴です。これらの特徴から、精神的なストレスを上手に発散できない方や、その家族が抜毛症にかかりやすいといえるでしょう。
抜毛症になる3つの原因
抜毛症は、個人によって異なる発症原因があり、以下のような状態がトリガーとなって発症するケースが考えられます。
- 自身でコントロールできないほどの不安を抱えている
- 精神的なストレスを抱えている
- ホルモンバランスが乱れている
それぞれの特徴について、詳しく確認していきましょう。
自身でコントロールできないほどの不安
日頃から感じている不安を払拭できずに、抜毛で自傷行為を行うケースは少なくありません。そのため、抜毛行為は一種の現実逃避であるともいえるでしょう。
このような強い不安感から抜毛を行ってしまう方は、自尊心が低くさまざまな精神的な問題を抱えています。また、家庭で受けた虐待がきっかけとなる場合もあります。
まずはまわりがしっかり理解を示して、当人の不安感を取り除いてあげることが大切です。抱えている不安をコントロールできるようになると、症状は少しずつ改善に向かうようになるでしょう。
精神的なストレス
抜毛症の原因の多くは、精神的なストレスによるものです。日常で感じるストレスから逃れるために、抜毛行為が出る場合も珍しくありません。
抜毛行為によってストレスが低減される経験をすると、今後もストレスがかかった際に同じ行為を繰り返すようになります。特に、精神的なストレスが強くかかる環境に身を置いていると、抜毛が慢性化しやすくなる傾向があります。
また、抜毛行為は睡眠中に行われる場合もあるのが特徴です。睡眠中は無意識下のため、自分で行為の制御ができず、症状が進行することに悩む方も多くいます。そのため、症状を低減させるためにはストレスの管理がとても重要であるといえるでしょう。
ホルモンバランスの乱れ
抜毛症において、男性よりも女性の方が発症率が高い理由の一つは、ホルモンバランスの乱れによるものと考えられています。女性のホルモンバランスは周期的な変化や不摂生な生活、更年期などによって大きく影響を受けるのが特徴です。
ホルモンバランスが乱れると、イライラを感じたり憂鬱な気持ちになったりと、精神的に大きな乱れが生じます。そのため、ホルモンの乱れによって精神が不安定になるこの状態のときが、抜毛行為につながりやすいのではないかといわれています。
ホルモンバランスを整えるために、日ごろからバランスの取れた食事や質の高い睡眠を心がけるようにしましょう。
抜毛症を繰り返す3つの理由
抜毛症は、やめたくてもやめられない中毒性のある疾患です。抜毛をやめようと思っても繰り返してしまう理由は、主に以下の3つが考えられます。
- 開放感と平穏感を得られるから
- 皮膚に違和感やかゆみを感じるから
- 無意識に髪の毛を抜いているから
それぞれの特徴について、詳しく確認していきましょう。
開放感と平穏感を得られるから
抜毛症を患っている方は、毛を抜く行為に開放感や平穏感を得ている場合があります。しかし、この開放感や平穏感は一時的な感情です。そのため、これらの感情を継続的に得るために、抜毛を繰り返し行なってしまうと考えられます。
抜毛による開放感や平穏感からくる症状を改善するためには、抜毛に代わる代替的な行動や対処法を学ぶ必要があります。抜毛に代わる行動が定着すれば、症状の改善も見込めるでしょう。
皮膚に違和感やかゆみを感じるから
慢性的に皮膚に違和感やかゆみを強く感じる方は、抜毛症を発症する傾向にあります。これは、抜毛行為によって皮膚の痒みなどが低減され、一時的に気持ちが落ち着くためです。
しかし、皮膚の違和感やかゆみを感じるたびに抜毛を行ってしまうと、その行為が習慣化し、抜毛症が慢性化してしまうリスクがあります。行為が慢性化すると、自己制御が難しくなり、抜毛行為を繰り返し行うようになってしまうでしょう。
無意識に髪の毛を抜いているから
抜毛症は、特定の体毛を探して抜くなどして抜き方にこだわる方もいる一方で、無意識で抜いてしまう無自覚型の方もいます。無自覚型の方の中には寝ている最中に髪の毛を抜いてしまう症状もあり、自分自身で行為を自覚できていないからこそ、何度も抜毛を繰り返してしまうのでしょう。
また、抜毛症を持つ子どもは、意識せずに抜いてしまうのが癖になってしまっているケースがほとんどです。無自覚の抜毛症は、癖の起こりやすい発達段階に起こりやすく、加えて家庭環境や性格なども影響しているといわれています。
抜毛症の治療方法
抜毛の症状は、自然経過によって改善を見込めるケースもありますが、医療機関でしっかりとしたケアが必要なケースもあります。抜毛症の治療は、個人の症状や状態に応じて異なる場合があるため、自分がどの治療に向いているのかを見極める必要があります。
続いては、抜毛症を患った際に行われる主な治療方法について確認していきましょう。
自由診療治療につきましては健康保険などの公的医療保険が全く使えないため、治療費が高くなります。
また一部の自由診療については医療費控除の対象となる診療もございますがAGA治療においては容姿を美化し、容ぼうを変えるなどの目的要素が強いため医療費控除の対象外になります。
薬物療法:薬で緊張を和らげる
抜毛症は、精神的に不安定な状態になると症状が現れやすい疾患のため、うつ病に使われる薬を治療に利用するケースがあります。
主に利用される薬は、脳内の神経伝達を改善し、憂鬱な気分を改善する選択的セロトニン再取り込み阻害薬や、心の症状を改善し、意欲の改善の働きのあるクロミプラミンなどです。
薬物療法は不安症状が強い方や抑うつ状態が見られる方に効果的な治療方法といえるでしょう。
認知行動療法:行動面から治療する
精神疾患の治療で用いられる認知行動療法は、抜毛症にも効果的です。認知行動療法とは、ストレスなどによって固定化した考えや行動を柔軟に変えるための心理療法です。
まず、自分自身の抜毛行為に目を向け、どのような状況で症状が出るのかを把握します。引き金となる状況を把握できたら、その状況に陥った際に、抜毛とは違う行動を取るようにトレーニングします。
例えば、拳を握りしめたり、何かしらの作業を行ったりといった具合に抜毛以外の行為を意識して行うことが大切です。抜毛の代替の新しい習慣を身につけられると、自然に抜毛症状が治り、症状の改善に期待ができるでしょう。
ストレス対策:ストレスの少ない環境を心がける
抜毛行為は日々のストレスによって、引き起こされるケースが多い傾向です。特に、多感な時期である思春期の子どもは、ストレスコントロールが難しく、抜毛の症状が発症しやすいとされています。また、大人であったとしても、環境の変化や職場の人間関係の悩みなど、誰でも何かしらのストレスを抱えています。
そのため、抜毛症の対策としてストレスの少ない環境に身を置くことがとても大切です。また、心療内科に通ってカウンセリングを受けるのも効果的です。ストレスの元を断つのは容易ではありませんが、家族やまわりがしっかりとしたサポート体制を取ることで、改善への一歩を踏み出しやすくなるでしょう。

抜毛症に対して焦らずに向き合い、専門家の指導を受けながら適切な治療方法を見つけることが重要です。自己判断や無理な治療方法は避け、継続的なサポートを受けながら改善に向けて取り組むことが大切です。
早期にできる!抜毛症に効果的な3つの対策
抜毛症の改善には、薬物療法や認知行動療法といった治療やストレス環境の改善が効果的ですが、自らの工夫で早期に抜毛行為を我慢させる対策を行えます。それぞれの対策方法について、詳しく確認していきましょう。
ウィッグをつける:地毛が抜きにくくなる
普段からウィッグをつけて生活することで、地毛が守られ、大切な髪を抜毛しにくくなります。また、抜毛症によって薄くなってしまった部分のカバーもできるため、人目が気になって外出できない方にもおススメです。
円形脱毛症や抗ガン剤治療による副作用に悩んでいる方のために作られた医療用ウィッグなら、一般に販売されているファッションウィッグよりも頭皮に優しくて使用しやすいでしょう。
睡眠中に髪を抜いてしまう無意識型の方にもウィッグを付けて寝ることは効果的なので、ぜひ一度利用してみてはいかがでしょうか。
手袋をつける:髪の毛を抜きにくくする
抜毛行為の対策として、物理的に髪の毛を抜きにくくするために、手袋をつけるのもおすすめです。手袋によって抜毛がしづらくなると、癖の抑制や習慣の見直しができます。
また、睡眠中に髪の毛を抜いてしまう症状がある方にも手袋は効果的です。手袋は比較的手軽な対策方法であり、ウィッグのように大きな費用もかからないため、早期に取り入れられるでしょう。
ショートヘアにする:ロングヘアより髪が抜きにくい
ロングヘアの方は、ショートヘアの方よりも手が髪に触れやすいため、髪に触れた際に抜毛の衝動が現れやすくなります。髪が長い方はバッサリと切って、ショートヘアにしてしまうのも抜毛症の対策として効果的といえるでしょう。
髪の抜きやすさに関しても、髪が長い方が抜きやすく、短ければ短いほど抜きにくいため、抜毛をしづらくなります。また、男性の方であればベリーショートにしたり、思い切って坊主にしてしまったりするのも効果的です。
抜毛症が改善するまでの期間
抜毛症は、1年またはそれ以下の期間で、治療を受けた方の約3分の1が改善を見せます。一方で、慢性化すると症状が20年以上続く場合もあり、どれくらいの期間で改善するのかは個人によって大きく異なるため、一概にはいえません。
特に、13歳以降に発病した場合は、慢性的な状態になりやすいと考えられており、治療が長期化する可能性が高くなります。抜毛症は10代で発病するケースが多数ですが、人生の後半でも発病した事例も報告されているため、誰しもがなる可能性のある疾患といえるでしょう。
それでも、約3割の方は1年以下で改善を見せているため、正しい治療を行えば短期での改善も大いに考えられます。
まとめ
今回は、抜毛症の原因や治療法について紹介しました。抜毛症はストレスやホルモンバランスの乱れによって、自ら体毛を抜く行為をしてしまう精神疾患の一つです。発症頻度は100人に1人から2人程度で、発症者の9割が女性といった特徴があります。抜毛症で髪を抜くことが習慣になると、慢性的な薄毛になってしまうため、早めの治療が肝心です。治療法としては、薬物療法や認知行動療法などがありますが、ストレスの本質的な原因を排除することも改善には大切です。そのため、抜毛症の改善には精神面がとても重要といえます。抜毛症を発症しても決して1人で抱え込まず、医療機関やまわりを頼りながら、少しずつ症状の回復を目指しましょう。

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