加齢とともに徐々に目立ち始める白髪。いつの間にか1本、2本と増えていき、髪色がまばらになってしまっている方もいるのではないでしょうか?この記事では、白髪が生える原因、メカニズムと特徴をお伝えしつつ、対策や対処法についてもご紹介します。

青山メディカルクリニック
院長 松澤 宗範
URL:https://amclinic.tokyo/
■診療科:形成外科、美容外科、美容皮膚科
■経歴
2014年 近畿大学医学部 卒業
2014年 慶應義塾大学病院初期研修
2016年 慶應義塾大学病院形成外科入局
2016年 佐野厚生総合病院形成外科
2017年 横浜市立市民病院形成外科
2018年 埼玉医科総合医療センター形成外科・美容外科
2019年 銀座美容外科クリニック 新宿院院長
2020年 青山メディカルクリニック院長
■資格・所属学会
・国際抗老化再生医療学会
・日本抗加齢医学会
・日本形成外科学会
・日本性機能学会
・日本アンチエイジング外科学会
・日本細胞外小胞学会
・日本がん免疫学会
・日本免疫治療学会
・日本NKT細胞標的治療研究会
・点滴療法研究会
・遅延型フードアレルギーと過敏症研究会
・日本コロイドヨード研究会
・日本医学脱毛学会

いなばクリニック
院長 稲葉 岳也
URL:https://www.inabaclinic.jp/
■診療科:耳鼻咽喉科、皮膚科、アレルギー科
■経歴
「東京慈恵会医科大学」卒業
「東京慈恵会医科大学附属病院」「聖路加国際病院」勤務
2004年「いなばクリニック」開設
■資格・専門
医学博士
日本耳鼻咽喉科学会専門医
日本レーザー医学会認定医
日本アレルギー学会専門医
この記事でわかること!
【要チェック】白髪が生える5つの原因
白髪が生えるのには様々な原因が考えられますが、主な原因は以下の5つです。
それぞれ詳しく解説します。
加齢:メラニン色素の生成不足
1つ目の原因は加齢。一般的に、白髪が生え始めるのは男女ともに30代中盤あたりからです。とは言え、人によっては10代から生え始めたり、50代を超えても生えてこないこともあり、個人差があります。
加齢とともに髪色に関わる色素細胞や色素幹細胞の働きが衰え、メラニン色素の生成不足が起こるため白髪が増えると考えられています。
遺伝:メラノサイトの働きが低下
2つ目は遺伝的な原因。完全に証明されている原因ではありませんが、遺伝も白髪の発生に関わっているという説があります。特に、10代や20代で起こる「若白髪」は遺伝的な要因が主要とされており、血縁者に同じようなパターンで白髪が生えていることが多いようです。
また、白髪は黒髪に比べてメラノサイトの生存や維持など、黒化に必要な働きを持つ遺伝子の発現量が低下しているという研究結果も。その他、稀なケースですが遺伝的な原因で先天的に色素形成能力がない場合も白髪になります。
生活習慣の乱れ:髪を作る栄養素が不足
3つ目は生活習慣。髪にとって必要な栄養が不足していることが原因である場合です。健康的な髪には、多くの栄養素や酵素が必要ですが、生活習慣の乱れによって髪に十分な栄養が行き届いていないと白髪が生えてしまうことがあります。元気な黒髪を育てるには、食事で以下のような栄養素を摂取することを意識しましょう。
栄養素 |
主な食材 |
タンパク質 |
肉類、魚類、卵、豆類、乳製品 |
ビタミン |
野菜、果物、豚肉、レバー、大豆 |
亜鉛 |
レバー、魚介類、煮干し、パルメザンチーズ |
アミノ酸 |
魚類、鰹節、ごま |
ストレス:自律神経の乱れによる血行不良
4つ目はストレスです。過度なストレスによって血管の収縮や自律神経の乱れなどが起こり、白髪が生えてしまうことがあります。ストレスによる白髪の発生は、髪へ充分な栄養が届かなくなったり代謝障害が起きたりすることが原因とされています。
ちなみに、ストレスと白髪の関係については2020年にハーバード大学の研究チームが研究成果を報告しており、ストレスの増加によって白髪が増えることが証明されているため信憑性が高い説です。
頭皮ダメージ:毛細血管の血流不足
5つ目は頭皮ダメージが原因となっている場合。頭皮がダメージを負っているとき、毛細血管の血流が不足することがあります。
毛細血管は髪1本ずつに繋がっており栄養を送る役割を果たしていますが、血流不足が起こると充分な栄養を送ることができません。頭皮ケアができていなかったり、頭皮が硬化していたりする方は血流不足が起きやすいため要注意です。
白髪のメカニズムと特徴
次に、白髪のメカニズムと特徴について解説します。
メラノサイトがうまく機能していない
白髪の原因は様々ではあるものの、共通するメカニズムとしてはメラノサイトが機能していないことが挙げられます。メラノサイトとは、色素細胞の1つ。メラノサイトの機能が低下したり消失したりすると、髪が黒化しない状態で生えてきます。
実は、生まれたての髪は全て真っ白。毛根で作られたばかりの毛にはメラニン色素が含まれていないため、色がついていません。そこで、メラノサイトが働き毛を黒化させます。髪が成長するとき、色素細胞からメラニンを取り込むことで髪に色がついていくのです。
また、メラノサイトがメラニン色素を生成するためにはチロシナーゼという酵素が不可欠。加齢などでメラノサイトの機能が低下するとチロシナーゼの働きも低下してしまい、色がつかないまま髪の毛が頭皮から顔を出します。メラノサイトが上手く機能しなくなると、白髪が生えてきてしまうのです。
35歳前後から目立ち始める
一般的に、白髪は35歳前後から目立ち始めると言われています。とは言え、10代や20代で白髪が生える若白髪という言葉もありますし、逆にいくつになっても白髪が生えてこないという方もいます。
特に10代で白髪が生えてきてしまった場合、校則で髪を染められず悩んでしまうという方も多いようです。35歳くらいで白髪が出始めるというのはあくまで平均的な年齢であり、実際には個人差があります。
白髪の生え方にパターンがある
白髪には生え方にパターンがあります。現状白髪が生え始めている方は、自分がどのパターンに当てはまるのかチェックしてみてください。
1.髪の生え変わりに白髪が増える
加齢などが原因でメラノサイトが衰え、髪の生え変わりで毛母細胞からなくなってしまっているパターンです。特に多いパターンとなります。
2.成長期の途中で白髪になっていく
メラノサイトの機能が低下し、成長期で伸びている途中の髪が徐々に白くなっていくパターンです。
3.突然広範囲が白髪になる
病気などが原因でメラノサイトが突然活動しなくなり、広範囲が一気に白髪になってしまうパターンです。稀に起こるパターンであると言えます。
生えてからでも遅くない!4つの白髪対策
ここでは、白髪が生えてきたとき、増えてきたときに使える4つの白髪対策をご紹介します。
- 健康的な生活習慣にする
- 精神的ストレスの低減
- こまめな頭皮ケア
- 外出時の紫外線を予防
日常的に意識して過ごすことで、白髪の減少に繋がる可能性があるので、ぜひ覚えておいてくださいね。
健康的な生活習慣にする
健康的な生活習慣は、頭皮環境の改善や栄養の充足に繋がります。栄養バランスを考えた食生活や充分な睡眠など、健康的な生活を心がけましょう。適度な運動を取り入れて、全身の血行促進を狙うのも良いですね。
また、喫煙や過度な飲酒も控えるのもおすすめです。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、頭皮の血流不足を引き起こします。また、アルコールは分解のときに髪にとって重要な亜鉛を消費してしまうため好ましくありません。
元気な黒髪を育てるためには、充分な栄養を髪に回すことが重要です。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動を習慣化し、喫煙と飲酒は控えるなどして白髪対策をしていきましょう。

白髪の改善のために、バランスの良い食事、特にビタミンB群、亜鉛、鉄分を摂取することが大切です。ストレスも減らし、睡眠やリラックスする時間を確保すると良いでしょう。頭皮マッサージは血行を良くし、白髪の予防に役立ちます。タバコは避け、適度な運動を心がけることも重要です。
精神的ストレスの低減
精神的なストレスと白髪に高い関係性があることから、ストレスの低減は白髪の減少に繋がると考えられます。
実際に、コロンビア大学を中心におこなわれた研究では精神的なストレスを低減することで、一度白くなった頭髪が元の色に戻ることが判明しています。
ストレスを低減する方法は人によって様々ですが、運動、読書、カラオケ、お風呂など、日常的に取り入れられるものを見つけておくのが大切ですね。
こまめな頭皮ケア
こまめに頭皮をケアすることで、白髪の改善が期待できます。白髪対策を意識して頭皮ケアをするなら、葛根エキス、カモミールエキス、タイムエキスが含まれたケア用品を使うのがおすすめ。これらの成分は白髪の減少に役立つという実効例があるため、積極的に取り入れると良いでしょう。
また、簡単な頭皮マッサージをおこなうのもおすすめです。頭皮マッサージをおこなうことで頭皮が柔らかくなったり、血行が良くなったりといったメリットがあります。頭皮マッサージで血流が良くなると髪に十分な栄養を届けられるようになり、結果として元気な黒髪が育ちやすい環境を作れることになるのです。
頭皮マッサージは、頭皮全体を指の腹で揉むようにほぐす程度でもOK。両手の指の腹を使い、頭皮を程よい強さで押したり動かしたり揉んだりタッピングしたりしてみてください。シャンプーのときや、ケア用品を塗布するときに頭皮マッサージを取り入れることで、頭皮環境を大きく改善できますよ。
外出時の紫外線を予防
外出時に避けられない紫外線は、髪や頭皮に大きなダメージを与える存在です。きちんと予防する習慣をつけましょう。長時間紫外線を浴びた頭皮は乾燥し、頭皮環境の悪化が早まってしまいます。特に、分け目付近に白髪が多い方は紫外線による頭皮ダメージが原因の可能性があるので要注意です。
外出時は帽子や日傘で紫外線から頭部を守るなど、出来るだけの対策を講じてください。帽子や日傘はちょっと…という方は、頭部用の日焼け止めスプレーを使うのも有用です。晴れの日だけでなく、曇りや雨の日も油断せず紫外線対策をするようにしましょう。
白髪が生えてきた時の対処法
最後に、白髪が生えてきたときにできる対処法を4つご紹介します。まだ白髪が多くない方も、増えつつある方も要チェックの内容ですよ。
カラーリングで白髪を染める
白髪染めという言葉があるように、カラーリングで白髪を染めてしまうのがメジャーで手っ取り早い方法です。
元々セルフでカラーリングをしていた方なら、市販の白髪染めを使って染めてしまうのも手段の1つですが、自信がない方は美容院へ行きましょう。美容院でプロに頼むことにはメリットがあります。
また、コストが気になる方もいるかもしれませんが、美容院によっては安いメニューを用意している場合があります。部分染め、リタッチカラー、メンテナンスなど、通常より安い価格になっている場合があるのでチェックしてみてください。
白髪を活かしたカラーリングをする
白髪が多いほど、活かしたカラーリングをすることがおすすめです。
黒髪が多い日本では、白髪は隠すものという風潮が強く、今までは白髪染めが主流でした。しかし、最近では派手髪ブームも手伝って白髪を活かすスタイルが流行しています。
真っ白な白髪ならアッシュ系のカラーリング、やや黄みがかった白髪ならベージュ系のカラーリングを入れると馴染みやすく、おしゃれな印象に仕上がります。カラーリングに対応している美容院であれば、カウンセリングでぴったりなカラーやスタイルを提案してくれるのでぜひ相談してみてください。
白髪は抜かない
白髪が見えた時、反射的に抜いてしまう方もいると思いますが、毛を無理に抜くのはNG。頭皮を傷つけてしまう可能性があるためです。また、白髪を抜くと増えると言われていますが、実際には抜いたからといって増えることはありません。
白髪に気付く頃はちょうど白髪が自然と増える時期でもあるため、抜くと増えるという風説が生まれたのかもしれませんね。とは言え、生えている毛を無理やりプチっと抜くのは頭皮にダメージを与えてしまう可能性があるため避けましょう。1本だけ生えていて気になるなどの場合は、根元のほうでカットするのがおすすめです
急増したら病院を受診する
白髪が急増した場合、病院を受診することをおすすめします。突然白髪が急増することがある病気のリスクは以下の4つです。
- 悪性貧血(巨赤芽球性貧血)
- 甲状腺機能低下症
- 腎不全
- 原田病(フォークト・小柳・原田病)
悪性貧血は、赤血球を作るのに必要なビタミンB12が不足することで起こる病気です。ビタミンB12はDNAの合成に必要な成分であり、髪を黒化させるメラノサイトの合成にも不可欠。ビタミンB12が不足している状態である悪性貧血は、メラノサイトが消失し白髪を発生させます。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが充分に分泌されない病気です。
甲状腺ホルモンの分泌が減少すると、全身の代謝が低下し機能不全を起こし始めます。甲状腺の機能低下の影響でメラノサイトが機能しなくなり、結果として白髪が急増するのです。
腎不全は、文字通り腎臓の機能が低下していく病気です。
腎不全が起きると、全身の臓器に機能障害が生じ、様々な症状が現れます。髪の成長も阻害されてしまい、メラノサイトも機能不全を起こすため白髪が急増します。
原田病とは、突然両目に網膜剥離が生じる病気です。
発症すると目以外にも皮膚の白斑、白髪、脱毛など様々な症状が現れます。原田病はメラノサイトに対する自己免疫疾患で起こる病気で、自分自身でメラノサイトを攻撃してしまうことで症状が進行していきます。
白髪の急増に伴い、身体の不調がある場合などはすぐに医療機関を受診し、検査を受けるようにしましょう。
白髪ケアができるおすすめヘアケア商品3選
サイオス カラートリートメント FOR MEN
サイオス カラートリートメント FOR MEN は、「一回での染め上がり」にこだわったカラートリートメントです。
高濃度染料処方で、違う種類の染料をバランスよく配合し、放置時間3分で手軽に自然に染め上がります。
また、3種の海藻エキスを配合していて、男性が特に気になる地肌の悩みにケアします。
商品名 | サイオス カラートリートメント FOR MEN |
内容量 | 180g |
定価(税込) | 1,089円 |
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出典:ヘンケルジャパン株式会社
スカルプD スカルプシャンプー カラーイン オイリー
スカルプD スカルプシャンプー カラーイン オイリーは、毎日使うシャンプーに白髪染め機能をプラスしたヘアカラーシャンプー。使う度に徐々に自然に染まっていきます。
ハリコシ成分を配合し、頭皮をケアしながら髪のボリューム感もアップしていきます。頭皮をいたわる設計を加えて、健康な髪へと導きます。
商品名 | スカルプD スカルプシャンプー カラーイン オイリー |
内容量 | 250ml |
定価(税込) | 3,300円 |
定期購入(税込) | 2,805円 |
Amazon |
出典:アンファー株式会社
サロン ド プロ 白髪かくしカラー
マスカラ構造で、生え際やサイドなど気になる部分にサッと塗るだけで白髪をかくしてくれます。また使うたびに徐々に染まりますので、段々と白髪が目立ちにくくなります。
素早く乾くテクスチャーなので、汗や水に強く、色が落ちにくいです。手や肌も汚しにくくなっています。
毛髪保護成分も配合され、髪と頭皮への負担を軽減します。
商品名 | サロン ド プロ 白髪かくしカラー |
内容量 | 15ml |
定価(税込) | オープン価格 |
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出典:株式会社ダリヤ
自分で対策できない場合は専門医に相談
白髪は範囲が狭ければ自分である程度のケアや対処できる場合がありますが、場合によっては専門医への相談が必要になります。前述の病気に関する症状がある場合はもちろん、頭皮に異常がある場合などは自分では解決できないことがあります。セルフケアだけでは対処しきれないと感じたら、医療機関で相談するようにしましょう。
まとめ
30代半ばから目立ち始めることが多い白髪。加齢、遺伝、生活習慣、ストレス、頭皮ダメージなどが原因で白髪は徐々に増えていきます。白髪が生えるメカニズムは、色素細胞の1つであるメラノサイトの機能低下にあります。メラノサイトが機能しなくなったり、消失したりすると髪に色がつかないまま生えてくるため、それが白髪と呼ばれるのです。メラノサイトが機能するように対策を打てば、白髪が減少することもあるのでまずはセルフケアをしてみてくださいね。
ただし、白髪が異常なスピードで増えている場合は要注意。悪性貧血を始めとする病気を疑いましょう。白髪と共に身体の不調が増えたと感じた場合や、自分では対処しきれないような白髪は医療機関での早期治療が有効です。悪化する白髪の悩みは一人で抱え込まず、プロや専門家に相談するようにしてくださいね。

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